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将来のために「遺言書を残したい」と思うことは、自分の意思を実現したり、家族や大切な人への想いを形にするための重要なステップです。しかし、遺言書をしっかりと作成するためにはいくつかの準備が必要です。ここでは、遺言書を作成するために知っておくべきポイントと、その具体的な準備について解説します。

1. 早めの準備が大切:遺言能力が求められる

まず、遺言書を有効に作成するためには、「遺言能力」が必要です。遺言書は、自分の意思で財産の分配方法を決めるためのものであり、その判断を冷静に行える状態でなければなりません。病気や体調、精神状態によって判断が難しくなる前に、できるだけ早めに遺言書を用意しておくことが重要です。遺言書は思い立ったときに早めに準備することで、安心して自分の意思を残すことができます。

2. 家族・親族の中から法定相続人となる人(推定相続人)を確認する

遺言書を作成する際には、自分が亡くなった後に誰が相続人になるのかを確認することが重要です。家族構成によって法的な相続人は異なり、例えば以下のような状況が考えられます。

配偶者や子どもがいる場合:通常、配偶者と子どもが相続人となります。子どもは認知した子や養子を含みます。

子供がいない場合:親が健在であれば親が相続人となり、親がいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。


また、相続人の確認を視覚的に整理するために相続関係説明図を作成するのも有効です。相続関係説明図は、自分の家族構成を図式化し、誰が相続人であるかを一目で確認できるようにしたものです。家系図の簡略版のようなイメージです。この図を用意することで、遺言書を作成する際や、家族が遺言書の内容を理解する際に役立ちます。

さらに、一部の相続人には最低限保証される「遺留分」があります。遺留分を考慮して遺言書を作成することで、相続人同士のトラブルを未然に防ぎやすくなります。

3. 自分の財産を明確にする

次に、自分が所有する財産を把握することが大切です。遺言書を作成する際には、財産目録を作成すると、所有している財産を明確にし、分配の計画が立てやすくなります。財産目録には、以下のような項目を含めるとよいでしょう。

預貯金口座(銀行名、支店名、口座番号など)

不動産(住所、登記情報など)

有価証券(株式、投資信託の種類や証券会社名など)

その他の貴重品(車、宝石、美術品など)


財産目録は、財産の内容や価値を一覧できるため非常に便利です。財産目録に記載された財産を使用しても、その使用した分は自動的に撤回されたものとみなされますので、常に正確な財産目録を維持することは必須ではありません。ただし、大きな変更があった場合には、財産目録を更新しておくと相続手続きがよりスムーズになります。

4. 財産の分配方法を決める⇒遺言書に反映する

財産目録をもとに、その財産を誰に相続させるか、または相続人以外に遺贈したい場合は、その具体的な分配内容を考えましょう。遺言書には、このような内容を反映させることが大切です。分配の意思が明確に書かれていれば、相続人同士のトラブルを避けやすくなります。遺留分を配慮しながら、相続人や特定の団体、またはお世話になった友人への配分を検討し、自分の意思をしっかりと遺言書に表しましょう。

5. 遺言書の内容はいつでも変更できる

遺言書は一度作成した後でも、何度でも変更・撤回が可能です。万が一、財産の分配について考えが変わったり、新しい遺産を得たりした場合は、遺言書の内容を更新しましょう。遺言書は最新の内容が優先されますので、新しい遺言書を作成すると以前の遺言書は無効になります。このため、人生の節目や資産状況の変化に応じて定期的に見直すことをおすすめします。

まとめ

遺言書の作成は、自分の意思を残すと同時に、残された家族のためにもなる大切な手続きです。相続人の確認や財産目録の作成、遺留分の考慮など、しっかりと準備を行い、家族間でのトラブルを未然に防ぎましょう。遺言書は一度作成したら終わりではなく、必要に応じて更新し、常に自分の意思が正確に反映されるように保つことが可能です。ぜひ早いうちから準備を始めて、家族がスムーズに相続手続きを行えるよう、備えてみてはいかがでしょうか。

行政書士はらしま事務所では、遺言書が本当に必要か迷っている、準備を手伝ってほしいなどのご相談もお受けいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。