遺言は書くこと、残すことが目的ではなく、その内容を実現させることこそが目的でありゴールです。公正証書遺言は、法的な信頼性が高く、遺言者の意志を確実に残せる方法として注目されています。また、最もスムーズに相続手続きを実現することが可能です。 今回は、公正証書遺言のメリットやデメリット、作成手順について解説していきます。
公正証書遺言とは?
公正証書遺言と他の遺言の違い
公正証書遺言は、遺言書の中でも特に公的な性格を持つもので、遺言者が公証役場で公証人・証人立会いのもと作成します。他の遺言方法としては、自分で作成する「自筆証書遺言」や、秘密性を重視する「秘密証書遺言」もありますが、公正証書遺言には法的効果が強く、証明力が高いという特徴があります。
なぜ公正証書遺言が選ばれるのか
公正証書遺言は、公証人が関与することで内容が厳密にチェックされ、法的な無効リスクがほぼなくなるため、確実な遺言を残したい方に最適です。また、公証役場で管理されるため紛失や改ざんの心配もなく、相続人が遺言内容を確認するための手続きも比較的スムーズに行われます。
公正証書遺言のメリットとデメリット
公正証書遺言のメリット
1. 法的効力が強い:公正証書遺言は公証人が作成するため、証拠力が高く無効になる可能性がほとんどありません。
2. 紛失・改ざんのリスクが少ない:公正証書遺言は公証役場で保管されるため、遺言書の紛失や改ざんの心配がなく、安全性が高いです。
3. 相続手続きがスムーズ:公正証書遺言があれば、家庭裁判所の検認手続きが不要になるため、相続手続きが迅速に進みます。相続人にとって最も負担の少ない遺言方法といえます。
4. 内容の手書きは不要:手書きは大変なので簡便な内容になりがちですが、より複雑で詳細な内容にでき、意思を実現しやすくなります。
5. 身体的な制約があっても遺言を残せる:内容確認の際には口頭での確認が求められますが、耳が不自由な場合は筆談など代替手段での確認も可能です。また、基本的に署名は必要ですが、もし手書きできない場合、代わりに公証人がその旨を記載して手続きを進められます。
6. 公証人の出張可能:特に移動が難しい高齢者や体調不良の方には、費用はかかりますが公証人が自宅や病院などに出張して対応することも可能です。
公正証書遺言のデメリット
1. 作成に費用がかかる:手数料が発生するため、自筆証書遺言に比べて費用が高くなります。費用は相続財産の価額に応じて異なり、財産が多いほど手数料も増加します。
2. 手続きの手間がかかる:公証役場での手続きや証人の準備が必要なため、時間と労力が必要です。
3. 内容が完全には秘密にならない:公証人と証人に内容を確認されるため、完全な秘密性は保たれません。
公正証書遺言の作成方法
公証役場での作成の流れ
1. 必要書類の準備:本人確認書類、財産を証明する書類、戸籍謄本などの必要書類を用意します。
2. 事前相談:公証役場に連絡を取り、作成したい遺言内容を公証人に相談し、1.の書類なども共有しながら遺言の案を作成してもらいます。必要に応じて修正してもらい、内容が確定したら公正証書遺言の作成日程を調整、決定します。
3. 遺言作成の立会い:遺言者が公証役場で公証人の前で遺言内容を口頭等で確認し、署名・捺印を行います。この際、証人2名も立会いが必要です。証人の確保が難しい場合、別途費用を支払って公証役場から証人を依頼することも可能です。遺言能力の確認のため、遺言内容を問われることがありますので答えられるようにしておきましょう。手数料は現金で支払います。
4. 遺言書の保管:完成した公正証書遺言の原本は公証役場で保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。
行政書士ができるサポート
公正証書遺言の作成をスムーズに行うため、行政書士などの専門家が関与すると以下のようなサポートを受けることができます。
1. 遺言内容の相談と文案作成:行政書士が遺言者の意向を確認し、遺言者の家族構成や財産状況に応じ法的に無理のない形で遺言内容をまとめます。
2. 必要書類の準備支援:行政書士が用意すべき書類について詳細な指示を出し、不備がないか確認します。遺言者が準備の手間を大幅に減らせるだけでなく、スムーズに進行できます。
3. 公証役場との調整:行政書士が公証役場との連絡・調整を行い、手続きが円滑に進むようサポートします。日程調整や必要事項の確認など、遺言者が直接対応しなくて済むため、負担が軽減されます。
4. 証人の確保:必要な場合、行政書士が証人の手配をサポートします。これにより、証人を確保する手間や費用の心配が軽減されます。
公正証書遺言を作成する際、行政書士のサポートは非常に有効です。遺言内容の策定や必要書類の準備など、初めて遺言書を作成する方にとっては難しい部分を支援します。確実な遺言書を作成するためにも、ぜひ行政書士に相談し、安心して大切な財産を託しましょう。
まとめ
公正証書遺言は、法的な証拠力や保管の安全性、手続きの円滑さから、信頼性の高い遺言書として多くの方に選ばれています。意思を確実に実現するためには、公正証書遺言が最もおすすめとなります。
行政書士によるサポートを受けることで、スムーズかつ適切な形で公正証書遺言を作成でき、相続人に安心と信頼を残すことができます。ぜひ行政書士はらしま事務所にお任せください。